シャドーイングは凄いらしい
あわよくば近々英検受験を、などと思っていたが、とんでもない思い違いだった。
語彙力6歳では今の日本の小学生にも劣るのではないか。
さすがにもう少し何とかしたいと学習法を検索してみた。
何事も「勉強」と言われると拒否反応が出るので、あえて調べることは避けていたが、小学校くらいは卒業したい。
調べてみると、世の人々が様々な学習法を編み出し共有してくれている。
その中で目についたのがシャドーイングというものだ。
効用を見てみると、
「これをやったらヒアリング楽勝になりました!」
「英語の成績が爆上がりです!」
などとTV通販でも却下されそうなコメントが並んでいる。
そんなに簡単に語学力が向上するものなら誰も苦労はしない。
眉唾とは思うが、一応やり方を見てみよう、一応…
ということで調べてみた。
ざっくりした手順は以下。
1. 意味が取れるレベルの内容で、ネイティブの音声付き短文教材を探す
2. テキストをくまなくチェックし、単語や文法、内容をきちんと理解する
3. テキスト見ながら、話者のスピーチを0.5秒ほど遅れて真似る
4. できないところは何度も繰り返し聞いて修正する
5. 最終的に音だけを聴いて真似る(ここで初めてシャドーイング成立)
これなら手軽に掛かれそうだと、さっそく適当なスクリプトを探した。
教材の読み上げスピードは遅いし、文章を見ながらなので簡単すぎる気もしたが、最初は軽く自信をつけた方がいいだろう。
と思ったが、
全然できない。
文章を見ているのに追いつけない。
呂律が回らず「あじゃジャべ、うじゅるど、っぶぉじぇび」のような発声になる。
苦悶で顔面が歪み、口角から舌が飛び出しそうだ。
語彙力は6歳、文法力は1歳、スピーキングはヒューマン以前だった。
しかし目では読めるのに、口が回らないのは解せない。
何度やってみてもできないので、再び検索してみると、同じ件で苦しんでいる同士が結構いた。
解決策は
「極度にできない人は基礎が足りていないので、音読トレーニングから始めましょう」
だった。
真っ当なご意見に、何回か音読練習をして、再チャレンジした。
舌のもつれは減ったものの、音の波についていけず、同じところで何度もつまずく。
前置詞とtheと数字が辛い。
そして過去形の「ed」や複数形の「s」が聞こえない。
ならばと切り捨てようとすると、ゴーストのような微かな気配だけはある。
さらに1単語がまるごと消えている(ように思える)箇所がある。
最初は本気で録音ミスかと思ったが、たぶん前の単語に吸収されているのだろう。
野蛮にもほどがある。
とりあえずは1教材を1日数分、1週間くらいで片付けるのが良いというので、3日ほど続けてみたが、テキストを見ながらでもまだ追い切れない。
これはシャドーイングそのものまで到達しないのではないか、と思っていたら、こんなアドバイスが見つかった。
「シャドーイングは上級者向けなので、初心者はやめたほうがいい」
黒々としたお墨付きを見た時は礼を言いたくなった。
では何が初心者にお勧めかというと、スクリプトを見ながらスピーカーに音を被せていくオーバーラッピングだそうだ。
それなら何とかなるかもしれない。
せめて1セットくらいは倒さないと6歳児の涙は止まらない。