『mikan』で味わう英検単語学習の酸味

自論だが「年度が変わったから目標を」というのは素人がやることだ。
挫折のプロは、新年や新年度に目標設定というリスクを冒さない。
改まった気分で設定したものは、達成できた場合は良いが、息切れしたり夢破れたときのダメージが大きすぎる。
意志薄弱な人間は、何事もさりげなく始めて、世間的な「天王山」だの「土壇場」なども黙って匍匐で進んだ方がいい。
小中高を通して尊敬していた担任が3人いるが、全員が申し合わせたように通知表の最後の欄にこう書いてくれていた。
継続は力なり
当時は「評価に使う文言として使いやすいんだろう」くらいにしか思っていなかったのだが、時が経つほどに「きちんと見てもらっていたのだな」と思う。

そんなわけで細々と英検単語の学習を続けているのだが、『英語物語』のおかげで覚えるべき単語に総当たりする作業も終盤を迎えている。
ゲームしながら流し見ただけだが、単語帳を開くなり寝落ちしていた人間としては上出来だ。

xera.hatenablog.com

今後は苦手な単語を潰していけば、受検も夢ではないかも、と期待を抱くようになってきた…ところへ「わけのわからない類義語」という石つぶてが飛んでくるようになった。
キャッチしたいのだが、覚えるための紐づけが全くできない。
例えば本日の石つぶて「solicit」。
「懇願する」という意味だが、solにもcitにも「懇願」の要素が見つからない。
「youはどこから?」ということで語源を調べたりもしたが、説明を読んでも恣意的に過ぎる気がして飲み込みづらい。
だいたい「懇願する」は他にもある。
間に合っているのに、なぜ増やすのか。

まぁ「英語に類義語が多いのは国柄かな」とは思っていた。
例えば日本なら主食が米なので、米に関する単語が幾つもある。
同じように肉が主食のアメリカでは、子牛と成牛の名前が違う。
つまり呼び分ける必要があるものが多いから、だと考えていた。
しかしなんというか、因果が逆だった。

 

ameblo.jp

確かにこれまでも語源を調べていると、古フランス語とか、古ドイツ語とか、ラテン語とか、いろいろ出てきた。
「いろいろ出てきた」のは当たり前で、調べていない単語も出自があるはずだ。
最近目についたものでは、伝染病防止のための隔離船が由来のイタリア語があった。

quarantine:検疫

こういう単語は人名と似て、「qua」「tine」の響きからなんとなく「●系の語感だな」ということは察することができる。
確認のために検索したら、良記事があった。

www.saitamakinen-h.or.jp

(横だが北里柴三郎が偉人すぎる)

とにかく英語に類義語が多い理由はわかった。
了解。諦めよう。

問題は、最近出題される単語が類推もままならないものばかりで、丸呑みで覚えなくてはいけない状況になっていることだ。
そこで『mikan』という英単語学習アプリも始めてみた。

『mikan』は「圧倒的にいちばん早く覚えられる」という謳い文句を掲げたアプリで、デザインはシンプル、設定も操作も簡単だ。
可愛いみかんのキャラが、さぼりがちなユーザーに対して「会いたかったよ」などと声掛けしてくれたり、小テストがパーフェクトなら「よっ天才」などと歓声エフェクトつきで褒めてくれる。
ユーザーレビューなどを見ると「頻繁に褒めてくれるのでやる気が起きます」と少なからず書いてあったりする。
しかしこの「褒め」は定型すぎて自分にはあまり訴えて来ない。
いっそ「甘えたことぬかすな」「勉強するのは貴様なんじゃ」と張り手されされたいが、どちらにしろ先方に頼りすぎだろう。
『mikan』はユーザーに媚びたりはしない。
可愛いキャラの皮の中身は、デジタルとはいえ昔ながらの手堅い単語帳であり、ゴリゴリの反復作業マシン
以前DLした時は、こうした単調な作業を漫然とやっても効果はなさそうだと思って削除してしまった。
だが今であれば「漫然」は回避できそうだし、そろそろゴリゴリされる必要がある。

使ってみると「進研ゼミで見た問題」ならぬ「英語物語で見た単語」が登場するので、以前よりはとっつきやすくなっている。
基本的にはクイズ形式での反復(めくり表示)と、頻繁な小テストで叩きこんでいく方式だから楽しくはないが、「覚えた」「ほぼ覚えた」「うろ」「苦手」といった単語の選別を細かくやってくれるので、効率よく前進できる(進む気があれば)。

ちなみにどこで見たのか忘れたが「3秒以内に意味が分からない英単語は覚えていないのと同じ」というアドバイスに尤もだと思い、単語の確認やテスト回答の制限時間を3秒に設定した。
(思えば『英語物語』で協力プレイに出て来る猛者たちは0.5秒以内に回答している。恐るべきは問題文自体を暗記して早押ししているという事実だ)
一方、凡人には3秒設定でも早すぎて、不思議な現象が発生する。
5問くらい覚えていない単語が続いたときに連続で反復していると、ストレスなのか何なのか、左脳の一部、耳の上あたりがジリジリと痺れ出す
通常自分で干渉できない箇所に、電気を流したような感覚を起こせるのはとても面白い。

面白い」で自分をごまかせるうちに、『mikan』で馴染みのある単語の確実な定着をはかり、「出自の知れぬ類義語」に取り組めればいいなと思っている。

ところで単語の勉強をしていて楽しいと感じるのは、覚えるために何かを調べている時かもしれない。
その道の専門家や、先達の学習者が掲載してくれる知識や調査結果などは本当にありがたく、時間があれば全単語を調べたいくらいだが、日本語でもそんなことはしてない。
もし外国人から「これはどういう意味で、語源は何か」と聞かれてもまともに説明できないだろう。日本語すら読みのレベルでつまづいて、このあいだは「檀家」を「だんけ」と読んで家人から総つっこみを受けたが、そもそも「檀家」の定義や由来もきちんと理解していなかった。
もしかすると英検より先に日検を受けるべきかもしれない、と日検の例題を幾つか見てみたが、外国人用だからなのか、日本語酔いしそうな内容だった。
ネイティブから見た英検もこんな感じなのかもしれない。